日本視聴覚教育協会が全国の小中学生から募集した第7回「全国こども科学映像祭」作品の入賞者が発表された。岡崎市内の小中学校から最高賞の文部科学大臣賞を東海中学校2年の内田智文君(中学生部門)が受賞したほか、優秀賞に竜美丘小学校科学部と福岡中学校パソコン部、佳作に3点、奨励賞に井田小が選ばれた。
映像祭は、子どもたちの科学への関心を高め、カメラの目を通して科学の楽しさやすばらしさを理解させ、子どもたちの科学する心を育てる目的で設けられた。
内田君の「古代森の生きた化石」は、家から400メートルほど離れたところにある山中八幡宮に生息するヒメハルゼミが、他の場所にもいるかどうかを写真に撮りながら検証した作品。
市東部、北部にある20カ所の神社へ行きセミの抜け殻を探したところ、須淵町の素盛鳴(すさのお)神社で2個見つけた以外は見つけることができなかった。同神社は大きなシイの木が自生しており、人の手も入っていなかった。
山中八幡宮には樹齢約300年のシイやカシの木が群生しており、ヒメハルゼミの生息環境が整っていることが分かった。研究は2年間続けられ、成虫を確認するため深夜観察にも行った。
内田君は「思いがけない賞でびっくりしました。前からヒメハルゼミのことを聞いていたので一度調べたいと思っていました。神社の森でもセミの住める環境が必要なので、自然を大事にしていきたい」と、喜びの中にも気を引き締めていた。
竜美丘小学校科学部(野地咲季部長)の6年生4人が取り組んだテーマは「ミミズを探ろう」。校庭で見つけた山になった土の粒がミミズのふんだと聞いて調べることにした。
土を入れた水槽にミミズを入れて飼育観察をしようとしたが、1週間で死んでしまった。考えた末、ビーカーの中に入れた液状の寒天にミミズを入れる方法で飼育観察が可能になった。
作品には失敗した実験の様子も収めたが、ミミズが暗いところを好むことを検証する実験は成功。それらを約9分にまとめた。
福岡中学校パソコン部(村岡建史郎部長)は、同校生徒有志が4年前からEM(有用微生物群)を使って取り組んでいる環境浄化活動を「よみがえる矢作川と三河湾」と題して作品化。3年生部員は、ぼう大な資料映像を10分以内にまとめるために2週間、休みの日も学校で作業した。
「テロップの文字の色を決めたり、ナレーションを入れたりするのに苦労しましたが、すごい賞をいただき満足です」と部員全員で喜んだ。
このほか、小学生部門の佳作に、六名小学校3年の杉山杏那さん、生平小学校六年一組、井田小学校六年の津坂啓太君が選ばれた。また、井田小学校は科学ビデオ制作に努力した、として奨励賞が贈られた。
今回は全国から小学生部門に40点、中学生部門に33点の応募があった。授賞式は1月11日、東京都江東区の日本科学未来館で行われる。