東海愛知新聞バックナンバー

 11月19日【水】
マウス

脳の左右に機能差

人間も解明可?
生理研・重本教授ら発見

自然科学研究機構生理学研究所の篠原良章研究員=現・理化学研究所=と重本隆一教授は、マウスの記憶形成をつかさどる脳内の部位「海馬」の中で、右脳と左脳の神経細胞が交わす信号のやりとりから、脳の右左に機能的な違いがあることを発見したと発表した。米国科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

違いがあるのは、信号を送信する役割を果たす「シナプス(神経と神経のつなぎ目)」の形と大きさ。右脳に信号を送信する左脳のシナプスは小さく、右脳から左脳に送信するシナプスは大きなマッシュルーム型をしている。

構造的な違いとして、小さなシナプスは神経伝達物質「グルタミン酸」を感じ取る「グルタミン酸受容体」と呼ばれるたんぱく質の一種「NR2B」、大きなシナプスは別のグルタミン酸受容体「GluR1」の密度が、それぞれ高いという。

研究は科学技術振興機構(JST)の基礎研究事業の一環として行った。今回はマウスの脳を電子顕微鏡で解析したが、篠原研究員と重本教授は「今後、人間の右脳と左脳の違いを科学的に明らかにできる可能性がある」としている。


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