岡崎市長選は、いずれも無所属で、自民、民主、公明の3党の推薦を受けた前職の柴田紘一氏(67)と、共産党の推薦を受けた新人の中根友治氏(61)の一騎打ち。10月5日の投開票に向けて選挙戦を展開する両候補の横顔を紹介する。
旧市民病院跡地を利用した岡崎げんき館やオープンを1カ月後に控えた図書館交流プラザの建設、岡崎の玄関口・名鉄東岡崎駅、市東部の藤川地区整備着手など、2期8年を「市民に約束したことは実現できた」と振り返る。
〈ハコモノ行政〉との見方もある大型事業について、「批判は当然あると思うが、無駄な〈ハコモノ〉ではなく、市民参画があってこそ実現した市民の長年の要求だった。課題が形になったととらえている」と強調する。
目指す3期目を「(大型事業の)形から中身へ。市民協働を推進するための任期」と位置づける。一貫して掲げる市民主導型市政による市民協働活動の展開、図書館交流プラザを核とした中心市街地の再活性化策、廃校となる旧額田町の小学校校舎活用などを課題に挙げ、「福祉行政の新たな展開にも視野を広げたい」と話す。
一方で、経費削減として指定管理者制度の導入促進や岡崎げんき館の運営で初導入したPFI方式の活用に力を入れ、市民がかかえる財政への懸念払拭にも取り組むという。
趣味は読書、音楽鑑賞、カメラ。本は歴史物が中心、音楽はジャズやクラシックを好む。20代から続けているカメラは10台以上を所有する。
農林水産省で今年3月末まで農林行政に携わってきた42年間の経験を生かして、食の安全や農林業の再建をかかげる。8月29日未明、市内に甚大な被害をもたらした集中豪雨についても「山や川に治水能力があれば河川のはんらんは防げたはず」と話す。
農家に生まれ育ち、農業の厳しさを実感。安城農林高校から当時の農林省へ。愛知統計調査事務所や東海農政局名古屋統計・情報センターで、農畜産の作柄予測、生産費調査など農家を回って実態を数値で示す〈現場での統計調査一筋〉を貫いた。
定年退職後は畑仕事にいそしみ、農家が「農業を続けたい」と思える希望を模索してきた。農業の未来を担う子どもたちに「もっと地産地消や食育を推進したい」と語る。
一方で市の大型事業に対し、「計画案ありきで、市民の声を反映した市政とは言えない」と断じ、「数十億円の施設を増やすなら、豪雨の被災者に防災対策として還元する方が『生きた税金の使い道』と言える」。
性格は「おっとり。物事にはこだわらないと思う」と穏やか。畑仕事ではナスやオクラなどの自家野菜の栽培に精を出す。趣味は読書で人情物が中心。男女4人の子を持つ6人家族