■祝賀 還暦能
33年の修業「葵上」で披露
岡崎・中町出身の永田さん
同級生が後押し
来月11日、二の丸能楽堂
岡崎市中町生まれで、大阪市中央区に住む会社役員、永田克壬さんが、今年60歳の還暦を迎えるのを記念して、33年間修業してきた能を演じる会を5月11日午後3時30分から、岡崎城二の丸能楽堂で開催する。入場無料。
永田さんは岡崎市甲山中から県立岡崎高校に進み関西の大学を卒業した後、東京で会社勤めを始めた。27歳で大阪に転勤になったのを機に観世流シテ方の大西智久師について能を始めた。長年の修業が実って昨年、シテ方として能楽協会会員に推薦された。
還暦記念に何かしたいと考えていたところ、小学校からの同級生で書家の丹羽勁子さんに後押しされ、ふるさとの能楽堂で公演することを決意した。
丹羽さんは「家柄がものを言う能楽の世界で能楽協会員になるのは大変なこと。公演日は中学の同年会を開いて、終わったらみんなで見に行きます」と応援している。
演目は「葵上(あおいのうえ)」。題材は「源氏物語」からとられている。「今年は『源氏物語千年』でもあり能の奥深さを知ってもらうにふさわしいと思い決めた」と永田さん。
源氏の正妻葵ノ上が怨霊(おんりょう)にとりつかれて寝込んでしまう。怨霊の正体は嫉妬(しっと)に狂う源氏の愛人、六条御息所(ろくじょうみやすどころ)の生霊と分かる。比叡山から行者を呼び祈祷(きとう)を始めると生霊は鬼女の姿で現れ、行者と激しく争うものの行者の法力により鎮められ成仏する。
葵ノ上は舞台には一度も姿を見せず、舞台中央に置いてある小袖1枚で病床の葵ノ上を表す演出で知られる。鬼女になった六条御息所が行者の祈りに負けまいと耐える姿が見どころ。
永田さんは「同級生のおかげで故郷の舞台で演じる機会ができてうれしい。これからも精進していきたい」と感謝している。
当日は、大西さんも舞(まい)囃子(ばやし)「高砂(八段之舞)」を演じて弟子の還暦を祝う。
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