4月19日【土】
岡崎市
夢は大きく「千人のハープ演奏会」―。岡崎市大西町、小出真美さん(42)が、8年後の平成28年4月、市内でハープの演奏会を計画している。半身マヒから奇跡的に回復し、現在では毎年春に教室の受講者と演奏会を開いている小出さん。「千は奇跡を呼ぶ数字。出演者のみなさんと楽しめる演奏会にしたい」と夢をふくらませている。 小出さんは名古屋芸術大学でユーフォニウムという金管楽器を専攻。卒業と同時に名古屋ウインドオーケストラのメンバーとして活動を始めた。しかし、すぐに行き詰まりを感じて退団。幼いころから音色が好きだったハープに転向した。
■舞台に立つ夢実現
16年3月、脳梗塞(こうそく)で倒れ、半身マヒになる。寝たきりになった病院のベッドである日、水色のドレスを着て舞台に立つ自分の姿を夢見たことで、動かなかった腕が動くようになった。このとき、頭に浮かんだ楽想でオリジナル曲「希望」を作った。 ハープ教室の講師になり、18年に受講者6人と一緒に、岡崎城二の丸能楽堂で第1回「桜の会」を開催。再び舞台に立てた喜びと、演奏会の楽しさを感じて初めて千人コンサートの企画を思いついた。 小出さんは、サウルハープを愛用している。弦の数は25本。3オクターブ半の音が出る。弦の数と大きさは、プロの演奏会で使われるグランドハープのほぼ半分。
■一本指演奏を考案
病気の回復とともに、リハビリも兼ねて人さし指だけを使う「一本指」演奏を考案した。教室の初心者には自ら編曲した「チューリップ」の曲から始める。ハープという楽器の特徴でもある、すべての弦を流れるように弾く「グリッサンド」という技法も取り入れ、初めての人でも簡単に覚えられる。次は親指も加えて二本指と、次第に増やしていく。
■“孫生徒”増加期待
昨年の「桜の会」は16人、今年の第3回は28人と出演者が増えてきた。「今、私が教えている生徒が育って講師になれば、“孫生徒”が増えていく。8年間では大きな数になるはず。そうした生徒たちが出演してくれれば」と期待する。 平成28年は岡崎市の市制100周年の年でもある。開催日は4月2日、会場は中央総合公園と決めている。「4月のちょうど桜の季節、岡崎が一番美しいときに全国に発信したい」という。 「百でも五百でもない。とにかく千人をめざしたい」。ちなみにギネスブックに認定されているハープの同時演奏の記録は、現在のところ440台。 今年中にはホームページを立ち上げ、全国の愛好者に出演を呼びかけることにしている。 ◆
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