日本酒に魅力
岡崎の柴田酒造場 米国人青年が“修業”
岡崎市保久町の柴田酒造場(柴田秀和社長)で、米国人の若者が日本酒造りを体験している。大学院で日本文化を学ぶうちに、日本酒の魅力にひかれたナサニエル・ガラントさん(26)。2月末までの滞在中に日本酒造りの全てを学ぼうと、蔵人と同じ仕事をこなしている。(大津一夫)
ガラントさんは仏教に興味を持ち、ミシガン州立大学の大学院で江戸時代を中心に日本と西欧の比較文化を専攻。日本料理や「独特の味わいがある」と日本酒に興味を持ち、在学中に日本料理店や日系の現地法人で働いたこともある。大学院は昨年12月に修了した。
柴田酒造場副社長の柴田佑紀さん(29)は昨年5月、日本酒の売り込みで訪れた現地の日本料理店で「日本の醸造を体験したいという青年がいる」と教えられ、メールでのやりとりが始まった。メールは全て漢字交じりの日本語。その後、ガラントさんの来日が決まったが、2月1日に名鉄東岡崎駅で出迎えたのが2人の初対面だった。ガラントさんは東北大学や同志社大学に留学の経験があり、来日は今回が5度目となる。
日常会話は不自由しないガラントさんは、名前から「ネイト」のニックネームで呼ばれ従業員ともすぐに親しくなった。午前6時には起床。蔵人と一緒に重いものを運んだり酒造りの工程を学んだりしている。
これまでの半月間で道具の使い方や具体的な仕事を体験し、後半の半月間では日本酒造りの化学的な要素も学んでいく。
「日本酒造りを体験する機会を与えてくれた皆さんに感謝している。将来は今回の体験を生かした仕事に就きたい」というガラントさんに、柴田さんは「うちで働いてもらいたいくらいです」と温かく見守っている。