7640頭を殺処分
愛知県 豊田で豚コレラ発生
豊田市の養豚場で飼育されていた豚6640頭のうち5頭の家畜伝染病「豚コレラ」の感染が6日、国の遺伝子検査で確定した。愛知県は同日、陸上自衛隊に災害派遣を要請した上で、豊田市の養豚場から運ばれた豚で感染が確定した田原市の関連養豚場の1000頭と合わせ、計7640頭の殺処分を始めた。(今井亮)
検査で確認された豚コレラのウイルスは愛知、岐阜両県の野生イノシシや、豚コレラが昨年9月に発生した岐阜市内の養豚場の豚で確認されたものと同型だった。豊田市の養豚場から1月以降に愛知県内を除いて5府県(大阪府、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県)に出荷された豚では、三重県を除いていずれも豚コレラの陽性反応が出た。
愛知県は豚コレラが発生した豊田市の養豚場を中心とした半径3キロ圏内を「移動制限区域」、半径10キロ圏内を「搬出制限区域」に指定した。区域は豊田市をはじめ、名古屋市天白・緑区、知立市、岡崎市、刈谷市、安城市、大府市、豊明市、日進市、みよし市にまたがり、区域内には養豚場6戸で1110頭(6日午後3時現在)の飼育が確認された。感染拡大を防ぐため、区域内の主要道8カ所に消毒ポイントを設置、畜産関係車両の消毒や周辺農場への立ち入り検査を実施している。
県によると、4日に豊田市の養豚場から県中央家畜保健衛生所豊田加茂支所に、繁殖豚に食欲不振などの症状の通報があった。
愛知県中央家畜保健衛生所による検査で出た陽性反応を受けて5日、大村秀章知事を議長とする緊急対策会議が開かれ、養豚場の出入り口の制限・消毒、豚を含めた場外への物品搬出禁止などの防疫措置がとられた。
豊田市農政課の谷原美保課長は「市内で野生イノシシが出ない地区にある養豚場は、鳥が入ってくるような窓もない構造の最新式の施設。思いも寄らない場所での豚コレラの発生に驚きを隠せない」と困惑。愛知県内で初めての豚コレラの発生による風評被害を懸念し、「豚コレラは豚やイノシシのみ感染する病気。感染した豚の肉が流通することはないが、万が一、口にしたとしても人体への影響はない」と市民に冷静な対応を求めている。
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岡崎市は同日、豊田市内での豚コレラ感染を受け、独自に家畜伝染病対策本部を設置た。対策部会を開いて状況を確認し、対策を協議した。
同本部事務局の農務課によると、現在市内では丸山町の県畜産総合センター、美合町の県農業大学校、市西部の民間養豚場の3カ所で豚が飼育されている。今後は岡崎幸田畜産連合を通じて、両市町の民間養豚場2カ所に消毒剤の配布を検討している。