名鉄東岡崎駅東側にある岡崎署明大寺交番の曳家工事が、21日から行われている。駅前一帯の再開発を行う「東岡崎駅前広場整備計画」に基づき建物を移動させる工事で、途中で向きを変えながら9月9日までに移動を終える見込み。30日現在、やや遅れが生じているものの、建物は現在稼働中の仮設交番南にまで移動しており、2つの交番が並ぶ珍しい風景を見ることができる。(大山智也)
建物は鉄筋コンクリート造り3階建て。建築面積約46.23平方メートル、重量約330トン。もともとは駅東改札口に隣接する位置に建てられていたが、今回の工事によって東に約50メートル、北に約10メートルの位置に移動する。
曳家工法は、建物を固定しているアンカーボルトを取り外して建物全体を持ち上げ、枕木を敷いたレールに乗せ、ウインチやジャッキで移動させる工法。建物の形を残したまま移動できることから主に文化財などで利用されるが、一般的な需要はほとんどない。工事関係者によると、鉄筋コンクリート造りの建物に曳家工法を採用するのは珍しいという。
工事発注者の岡崎市によると、駅東改札口を新設する関係で旧明大寺交番が取り壊され、平成22年度に現在の交番を建設。当時、既に駅周辺地区の整備計画が持ち上がっており、今後建物を移動させる必要が生じた際に建て替えなしで対応できるよう、将来的な曳家工事を視野に入れて作られたという。
同整備計画の策定により、駅東側に一般車やタクシーの乗降場、東改札口3階から北東に伸びるペデストリアンデッキの建設を最終決定。今年4月に仮設交番を建設して交番機能を移し、曳家工事の準備を進めてきた。
今後は、12月15日を目標に全ての工事を完了。同署によると、来年初旬の“復活”を見込んでいるという。