神奈川大学理学部化学科特別招聘教授の上村大輔さん(71)が14日、県立岡崎工業高校で「海洋生物に医薬リードを求めて」と題して講演した。
上村さんは、海洋生物が持つ成分や有機化合物を研究し、医薬への転用を目指している。これまでフグ毒の約50倍の毒性を持つ「パリトキシン」の構造解明、抗ガン作用のある「ハリコンドリンB」や、骨粗しょう症の原因となり細胞増加を抑える「シンピオイミン」の発見などに関わってきた。
近年は、沖縄県石垣島の吉原海岸で採取した藍藻類から見つかった、脂肪細胞の増加と蓄積を抑える効果がある「ヨシノンA」の研究に力を入れている。講演ではマウスへの投与実験の結果をスライドで紹介した。
上村さんは「肥満は地球規模の問題で、まだまだ研究が展開できる。今後は臨床試験も行っていきたい」と意気込んだ。また、生徒らに「家族やいい先生といった人との付き合いを大切にし、高い志を持って仕事に当たることが重要だ」と研究者としての心構えを話した。(横田沙貴)