現金自動預払機(ATM)の操作に不慣れな高齢者を狙った還付金詐欺被害を防ぐため、岡崎信用金庫は11月1日から、同信金のATMで3年以上キャッシュカードによる振り込みをしていない70歳以上の顧客を対象に、キャッシュカードでの振り込みができなくなるよう制限する。金融機関による防犯目的の自発的な利用制限は全国初とされ、多発する詐欺被害の防止に期待が高まる。
振り込め詐欺の手口は絶えず変化しており、被害者に電話で指示して金融機関から現金を振り込ませたり、被害者のもとに犯人グループの1人が直接現金を取りに行ったりと巧妙化している。最近は、金融機関での水際対応を避けるため、ATMから振り込ませる手口が増加。岡崎署管内(岡崎市、幸田町)では、自治体職員や金融機関職員を名乗って「還付金の支払いがある」とかたり、振り込む意思のない高齢者から現金をだまし取る還付金詐欺被害が深刻となっている。
同信金が同署と対応を協議したところ、振り込め詐欺被害者の多くが普段キャッシュカードによる振り込み機能を利用していないことが判明。そこで、通常はICチップ付きキャッシュカードで200万円まで、ICチップのないキャッシュカードで50万円までを振り込み限度額として自由に設定できるところを、対象者に限り0円とする対策を打ち出した。
対象者が振り込みを行う場合は、平日の営業時間中に窓口に申し出る必要がある。その際に本人情報や使途の確認などを行い、職員が詐欺の可能性を判断。振り込み制限がある場合でも、預け入れや引き出しは従来通り可能で、希望者は必要に応じて窓口で振り込み制限の解除も申請できる。
同署管内での特殊詐欺被害発生件数は、12日現在で29件。うち還付金詐欺は6件で、被害者はいずれもATMの操作に不慣れな高齢者だった。