岡崎市寿町の化粧品研究開発・製造のフラスコ(神谷則行社長)がこのほど、タオルや布に染み込ませて全身を拭いて汚れを取り、肌を清潔に保つ商品「拭くだけボディー洗浄」を開発した。体だけでなく、顔や髪の毛も水を使用せずにきれいにできるとあって、避難生活を送る熊本地震の被災者にも役立てられているという。(竹内雅紀)
神谷社長は熊本地震発災後、避難生活を送りながら風呂に入れず困っている被災者の姿をテレビで見て「化粧品会社でも何か役に立てないか」と思い、美容室向けに納めていた毛穴の脂分を取り除く濃縮タイプの商品「リカール・ヌード」を改良。トリートメント成分を抜き、ヒアルロン酸やコハク酸など弱酸性の肌に優しい成分を入れて10倍希釈にして商品化した。
拭くだけで肌の汚れ、皮脂が取れ、拭き終わった後には爽快感が残る。大人で1回の使用量は200ミリリットル。泡立たず、すすぎも不要なため寝たきりの人にも活用できるという。「数日間風呂に入れない時のかゆみ、くさみ、汚れが拭くだけで取れ、除菌もできる」と特徴を話す。水や湯に浸したタオルで拭いた場合、爽快感はあるが脂分までは取れないという。また、体や顔を拭けるウェットシートでも髪の毛まで拭けない。
日本赤十字社を通して商品を被災地へ送ろうとしたが、衛生品の優先順位は低く、送れなかった。そのため、全国に支店を持ち、取引のある生命保険会社を通じて、5月中旬に熊本へ商品200個を送った。
1個400ミリリットル、600円(税別)。品質保持期間は3年間。神谷社長は「いつどこで地震が起きるか分からない。いざという時に役立てたら」と災害備蓄用商品として薦める。また、濃縮タイプにし、病院や老人福祉施設、家庭用商品としての応用も視野に入れている。問い合わせ、申し込みは同社(64―3991)へ。