老朽化と今後予想される火葬需要の高まりから敷地内での建て替えが進められてきた岡崎市斎場が、駐車場整備を残して完成し30日、関係者100人による火入れ・開場式が行われた。昨年2月に着工した新たな斎場は、中根組やオリバーなど8社で構成する特別目的会社(SPC)「岡崎メモリアルパートナーズ」が設計・建設し、引き続き維持管理・運営を担う指定管理者となって、あす6月1日から稼働する。(今井亮)
市の試算では高齢化社会に伴い、39年後に年間の火葬需要が5846人のピークを迎えるとされ、動物炉を含む火葬炉を現在の11基から14基に増やした。
斎場は鉄筋コンクリート2階建てで、延べ床面積約5119平方メートル。太陽光パネルと非常用の自家発電設備を備え、災害などで電力供給が寸断されても、稼働を72時間持続できる。
1〜2基の火葬炉が入る「告別・収骨室」(お別れ室)は8室設けられ、これまで火葬とは別の場所だった収骨が一緒にできるようになった。1、2階に急きょ駆け付けた参列者が礼服に着替えることができる更衣室、2階に授乳・キッズコーナーが新設された。
葬祭事業者の利用予約はインターネットによる24時間対応のWEBシステムを本格運用。葬祭事業者にIDを発行し、同じ故人の氏名による複数の仮予約と、1度入力した故人の氏名、生年月日、死亡年月日の変更ができなくなる。
また、度重なる仮予約のキャンセルに対しては葬祭事業者に理由を問うなど厳格化。入力された氏名などのデータは、館内のお別れ室や待合室の電光表示などに連動する。
総事業費は、SPCがサービス提供料として市から受け取る15年間の維持管理・運営費約22億4,000万円、きょう稼働を終える現在の斎場解体費、解体した斎場跡地に今年度末までに完成する駐車場・外構整備費を含め、約56億円。
火入れの神事では内田康宏市長が火葬炉に点火。開場式で「利用者の目線に立ったきめ細かなサービスと、お別れの場としてふさわしい時間を提供してもらいたい」と述べた。