熊本地震被災地で支援活動を行ってきた西尾市民病院災害派遣医療チーム(DMAT)が25日、市役所で報告会を行った。内科医の田中俊郎副院長、看護師の相沢努さんと三矢敏さん、業務調整員を務めた臨床工学技士の磯貝玲夫さん、事務部管理課の永谷順次さんの5人は、榊原康正市長らに被災地の様子を語った。(横田沙貴)
同院は愛知県DMAT調整本部からの要請で5人を派遣。18日午後7時50分から20日午後4時30分まで、熊本県阿蘇市の阿蘇医療センターを拠点に活動した。
永谷さんを除く4人は、19、20の両日の昼間、阿蘇地域の避難所や老人ホームなど計16カ所を巡回。避難所などの被災者に重傷者や重病者はいなかったが、避難所生活による疲労、不安やストレスからくる心身の変調が多くみられたという。
隊員は、今回の活動を通じて情報収集の重要性を強く実感。田中副院長は「16施設は被災後初めてDMATが行った場所で、行くだけで被災者が安心していた。西尾が被災した際は今回の経験を生かし、各地のDMAT隊員を受け入れたい」と話した。
また、同市はこの日、市医師会と市歯科医師会、市薬剤師会の3者と「災害時における支援協力に関する協定書」をそれぞれ締結した。
大規模災害発生時に、迅速で的確な医療体制を構築できるよう市と各機関が連携を図る。同市は、平成7年に西尾幡豆医師会(現市医師会)、22年に市薬剤師会、25年に市歯科医師会とそれぞれ協定書を結んでいたが、東日本大震災を契機に内容の見直しが行われた。
新しい協定書には、同市の医療救護班派遣要請があった時か、震度6弱以上の地震があった時、3者の医師らが市民病院、一色町の高須病院、幡豆支所のうち最寄りの施設へ集まる―といった活動体制などを明記した。