岡崎市中町の老舗酒蔵「丸石醸造」が、あいち産業科学技術総合センター(食品工業技術センター発酵バイオ技術室)と共同で、岡崎公園の藤棚に咲く市の花のフジの花(五万石ふじ)から抽出した酵母と、六ツ美地区で栽培される復刻米「萬歳」を使った市制施行100周年の大吟醸「岡崎城五万石ふじ」を開発した。2月6日に迎える蔵開きから、同社売店と酒類を扱う市内4カ所で数量限定販売する。(今井亮)
同社は昨年5月、市の許可を得て庭師が剪定したフジの花を譲り受け、発酵バイオ技術室に酵母の分離や解析を依頼。通常の花酵母にない強い発酵力を持つことが判明し、開発に踏み切った。
花酵母特有の酸を抑制しながら低温管理で“フジ酵母”を培養。10月下旬に始まった醸造では、原米842キロに対して精米歩合52%を削り出した400キロを仕込み、32日間発酵させた結果、12月上旬に800リットルの純米大吟醸が誕生した。工場長の小野尚之常務(51)は「野生酵母のため、通常の吟醸酒より最高温度が2度程度低い10、11度から6度まで徐々に下げて管理しました」と話す。
深田達彦社長(76)は「市花のフジ、六ツ美地区の萬歳、岡崎の水を使って岡崎の蔵元で作られた市制施行100周年を祝うにふさわしい『純岡崎産』の大吟醸。7月1日の市制記念日に市民で酌み交わしてもらいたい」と出来栄えに太鼓判。「酵母が残るうちは3、4年先も作り続けたい」と意気込んでいる。
同社は2月6、7日に1日100本限定で販売。岡崎公園内の観光売店、道の駅「藤川宿」、名鉄東岡崎駅売店、西武岡崎店でも6日から店頭に並ぶ。1本300ミリリットルで2700本を生産した。1,000円。