岡崎市内の各地で19日、昭和20(1945)年7月20日未明に同市を襲った「岡崎空襲」などの犠牲者を追悼する平和祈念式や市民慰霊祭が営まれた。戦後70年を迎え、空襲の体験者を含む参列者は献花で多くの犠牲者をしのび、あらためて平和への祈りをささげた。(今井亮)
市が主催した市民会館での平和祈念式には、犠牲者の遺族ら約1000人が参列。内田康宏市長は「多くの方々が戦争の犠牲になったことは未来永劫忘れてはならない深い悲しみの記憶」とし、「今日は犠牲者の上に成り立っていることを忘れてはならない。過去を謙虚に振り返り、戦争や災害のない平和な未来に進んでいく決意を新たにしたい」と式辞を述べた。
康生通西2のショッピングセンター「岡崎シビコ」の西広場に立つ岡崎空襲の慰霊碑では、「岡崎空襲の慰霊碑をまもる会」の市民慰霊祭があり、遺族や岡崎学園高校の生徒ら約50人が参列した。
空襲の焼夷弾で、当時1歳の弟と生後4カ月の妹を亡くした岡田亮一会長(78)。「戦後70年を迎えたが、『もしも生きていたら』と想像してしまい、忘れられない」とした上で、「心からの慰霊は悲惨だった戦禍を語り継ぎ、2度と繰り返さないこと」と力を込めた。
衆院を通過した安全保障関連法案について、岡田会長は「現代の日本人が雰囲気に流されず、どのように考えて乗り越えていけるのかを見守りたい」と語った。
「戦後70年」を今年の文化祭のテーマに掲げるという同高。生徒会長の2年、野々山魁斗君は「戦争体験者の話を次の世代に語り継ぎたい」と静かに述べた。