岡崎市祐金町の善立寺の本堂、七面堂、玄関、山門の四件が、登録有形文化財建造物として、国の文化審議会から文部科学大臣に答申された。市内の登録件数は16件となる見通しで、1カ所で4件は最多となる。
本堂、七面堂、玄関は同じ建造物内にあり、木造平屋の瓦葺き。中心となる本堂は享保19(1734)年に現在の姿に建造された。内陣に置かれた須弥壇や、上方の極彩色飾りによる高度な装飾密度が評価された。
寺伝によると、同寺は応仁年間に松平4代・親忠によって現在の安城市で創建された日蓮宗身延山久遠寺の末寺。松平清康の岡崎城入城や城郭整理に伴い、天文元(1532)年と天保4(1833)年の2度にわたって移転した。現在まで、三河地方で中心的な日蓮宗寺院に位置づけられている。
市社会教育課によると、市内の日蓮宗寺院は同寺を含めて4カ所で、登録されるのは今回が初めて。同課の担当者は「数少ない日蓮宗寺院の伽藍に目を向けてもらう機会にしたい」と話している。
同寺では20日の午後1時から3時まで、一般公開が行われる。午後1時からと2時からは、住職と学芸員による説明会が開かれる。雨天決行。駐車場がないため、同課は公共交通機関の利用を呼び掛けている。(今井亮)