東海愛知新聞バックナンバー

 7月14日【火】

長持ちで安全性確保

防腐・防蟻の「タフの木」開始

岡崎市針崎町の小原木材(小原淳社長)はこのほど、防腐・防蟻木材「タフの木」の製造を始めた。同社の木材加工技術により、市産材のヒノキやスギが長持ちで安全性の高い“付加価値材”に変化。ウッドデッキやベンチ、遊歩道など屋外に設置される木材として有効活用されそうだ。(竹内雅紀)

タフの木は、腐朽や蟻害を防ぐために防腐、防蟻用の薬剤を加圧注入している。その結果、外国産材に比べて3〜5倍は長持ちするとされている。また、木材の材質を損なわず、成分の溶脱が少ない。さらに大学などの研究機関との実験により、安全性も確認されている。

同社では、奥行き約4メートル、高さ約3メートルの真空・加圧含浸装置を設置。薬剤と水を調合したものを貯蔵タンクに移し、装置内の木材(4立方メートル)の30%分を注入して加圧する。月間で150立方メートルの生産を目標とする。

木材は同市額田地域で間伐されたヒノキやスギを主に利用。内装建築材として使用できない細い木(角材にする際、縦横とも10センチ以下しかとれない木など)のうち、利用されるのは1割程度。外国産材の方が安価で使いやすいことから残りは捨てられている。未利用の国産材(地元産材)に付加価値をつけて、地産地消を推進し地域振興を試みる活動は総務省、経済産業省のプロジェクトに採択されており、補助金も出ている。

タフの木の活用法としては、主に外で使用するベンチや遊歩道、ウッドデッキ、外壁、木れんがなど。同社の社屋(平成6年完成)の外壁は防腐・防蟻木材を使用している。課題は、供給源となる木材の確保と、難しいとされる木の見極めという。

小原社長は「構想から約20年。未利用材、地元産材の活用を通して少しでも地域経済の活性化、循環につながればと思う。価格はやや高いかもしれないが、長持ち、安全で“タフ”な部分が売り」としている。

問い合わせは、同社(51―1595)へ。