東海愛知新聞バックナンバー

 4月9日【木】

63年の歴史に幕

絵画グループ「椿会」が最終展
岡崎・12日まで 「スペース遊」で

絵画グループ「椿会」(山岸俊一代表)の第111回春季同人展が、岡崎市本町通2のギャラリー・スペース遊で開かれている。今回で63年の歴史に幕を下ろすとあって閉会を惜しむ市民らでにぎわっている。12日まで。(岩月健)

同会は絵画を趣味とする岡崎市の文化人らによって昭和28(1953)年に結成。

これまで創立同人で、いずれも故人の内藤卯三郎・愛知学芸大学長、中西正雄・市立岡崎病院長、松井弘みどりや店主(いずれも当時)はじめ40人が活躍した。現在は絵画のほか、桐塑人形、写真、切り絵、書作家など12人の同人が年2回同人展を開いている。

最終展となった今回も、同人それぞれの味わい深い作品が並ぶ。傘寿(80歳)記念の中西正美さんは水墨画3点を出品。最古参の小森葵城さんは得意の花と風景も。最年長の石川弘行さんは油彩画「椿会よさらば」で思いを伝える。そして、山岸俊一さんはヨーロッパアルプスなどを水彩で、父・正雄さんと2代にわたる同人の中西正次さんは色彩豊かな風景画を披露。武田照幸さんは独特な表現で仏像を、渡会直子さんは日本画で3点の桜を描いた。

佐野博さんは登山歴にふさわしい山の絵で実力を、俳人の峯澤洋一さんは風景で新境地を示す。日展作家・有馬知佳子さんは桐塑人形で高い芸術性を表現。また、写真の藤井孝弘さんは温かい感性で瞬間を切り取り、書家の斉藤監代さんは練達の筆運びを見せる。

山岸会長は会場に集う同人と言葉を交わし、「歴史ある会を閉じるのは残念なことですが椿会で活動できたことを同人一同喜んでいます。事務局の岡田康孝さん、根岸淑子さんに感謝しています」と話した。

会場では小品の頒布も行っている。

閉会にあたって63年の歴史をまとめた『椿会のあゆみ』(A4判変形40ページ)を刊行した。