本物顔負けの甲冑を作って家康公400年祭を盛り上げよう―。3月末の完成を目標に、厚紙や和紙などを使った甲冑作りに挑戦している岡崎城西高校美術部。12日には、4月5日に岡崎市内で繰り広げられる家康行列で完成した甲冑を着けるオカザえもんを同校に招き、制作途中の胴や小手などの着け心地を調整した。(大山智也)
美術室で1、2年生部員約15人がそれぞれの作業を進める中、午後2時過ぎにオカザえもんが登場。部員らはいったん作業の手を止め、甲冑の試着準備をした。
甲冑は兜、胴、小手、脛当ての4パーツで構成されており、生前家康が愛用していたとされる金陀美具足と大黒頭巾兜をモチーフに、部員らがアレンジ。オカザえもんのトレードマークでもある「崎」の文字が入れられた胴、甲冑全体を金箔で飾っているのが特徴の、きらびやかな甲冑となっている。この日の時点では、胴、小手、脛当ての大部分や、兜の一部などができ上がっていた。
オカザえもんは部員らの手を借りて甲冑を試着し、鏡でその姿を確認。「いいですね!」「立派な甲冑ありがとう。完成までよろしく」と筆談で絶賛すると、戦国武将になりきってポーズを決める場面もあった。
2年生で部長の稲垣舞波さんは「3年生が引退したので、甲冑作りは今のメンバーでやる最初の大仕事。全員が一丸となって甲冑作りに挑戦しています」と語る。また「オカザえもんが思ったよりもスレンダーだったので、布が余った部分を切ったり、兜で顔が隠れないように縁を削ったりといった改善点が見えてきました」と話し、続けて「お披露目の日までに、クオリティーの高い甲冑を完成させてみせます」と意気込んだ。
顧問教諭の福岡正臣さん(42)は「1つの目標を定め、仲間と協力して達成するプロセスは、将来必ず役に立ちます。以前も等身大のティラノサウルスやペットボトルキャップを使ったクジラの模型などを作りましたが、こうした成功体験が生徒の成長の糧となることを期待しています」と話している。
甲冑の制作が始まったのは昨年末。部活動中の雑談の中で「せっかくの顕彰400年、美術部でも何かできないかな」と、部員の1人が甲冑作りを発案。さらに「完成した甲冑をオカザえもんに着てもらったら、注目も浴びて面白いかもしれない」と考え、着用を打診したところ、オカザえもん側が快諾した。さらに市も協力し、家康行列で大々的に披露することが決まった。
部員らは早速、三河武士のやかた家康館などで家康にまつわる甲冑について下調べ。ときには、ボール紙製の甲冑を着ているグレート家康公「葵」武将隊のもとを訪れ、甲冑の出来映えなどを参考にしたという。
同校の文化祭で使用する衣装として甲冑を作った経験がある部員たちは、そのノウハウを生かしながら協力して作業を進めており、現在の進捗は当初の予定通りと順調。26日には、午前11時から家康館前でオカザえもんに甲冑を贈る記念イベントを開催し、完成品のお披露目と合わせて、家康行列での着用をPRする予定。