大学生と地域企業、支援機関の3者で取り組む長期実践型インターンシップの成果事例を発表する「地域若者チャレンジ大賞審査会」がこのほど東京で行われ、岡崎市の「すべては聞こえのために」プロジェクトがグランプリを獲得した。(竹内雅紀)
審査会では、岡崎市吹矢町にある「あいち補聴器センター」と、同社で半年間のインターンシップを経験した愛知大学3年生落合愛実さん(20)=豊田市霧山町、支援したNPO法人コラボキャンパス三河の3者が発表。東海ブロック予選を通過した同プロジェクトは、全国8事例の頂点に立った。
落合さんは大学2年だった昨年8月から今年2月まで、週3回の割合で“勤務”した。主な業務はインターネットでの補聴器販売やブログ更新など。当初パソコン操作が得意ではなかった落合さんは大苦戦。途中、同社の天野慎介さん(32)から「作業的だ」との指摘を受け、誰のために仕事をするのかを考え始めたという。
商品タイトル欄に「動画あり」の項目を入れたり、振動する目覚まし時計や耳栓など周辺機器の商品棚の整理をしたりするなどの工夫を凝らした。結果的に280万円の売り上げにつながり、業界関係者らの視察もあったという。
また、周囲のサポートもあり、「人とのつながりを大事にし、仕事を楽しむようになりました。大学生のうちにしかできないことが経験でき、得るものは大きかったです」と振り返る。来年春からの就職活動についてはじっくり選ぶとしている。
受け入れ先の天野さんは「少しずつ全体が見えてきた。素直だったところが成長につながったのではないか」と評価している。コーディネーター役を務めたコラボキャンパス三河事務局長の松林康博さん(33)は「企業は思い切った挑戦ができるほか、人を育てる仕組みができる」と、半年間に及び、需要が増えているインターンシップの利点を語った。