多機能型事業所「愛恵ワークス」(岡崎市舞木町)に通う米内勝宣さん(42)=同市上地5=が、1〜3日に長崎県で行われた第14回全国障害者スポーツ大会に出場し、水泳25メートル背泳ぎと50メートル自由形で優勝した。全国大会初出場・初優勝という快挙。これを追い風に、次は「世界」を目指す。(大山智也)
米内さんは、5月に行われた愛知県障害者スポーツ大会に出場し、25メートル背泳ぎで37秒95を記録し優勝。この結果が評価され、翌月には県の代表選手として選ばれ、数回の合同練習を経て本番を迎えた。
全国大会では、初日に50メートル自由形、2日目に25メートル背泳ぎに出場した。ともに予選なしの一発勝負。それぞれ1分25秒95、40秒12の記録をマークし、優勝を果たした。
米内さんは「競技中は頭の中が真っ白で、プールから上がった後も、しばらくは実感がありませんでした」と当時の様子を振り返る。優勝という結果には「初めて出場した全国大会で優勝できたのは本当にうれしいです」と、メダルを片手に喜びを語った。
3歳ごろに下半身のまひが分かり、外出に車いすが欠かせなくなった米内さんは、県立岡崎特別支援学校に進学。卒業後は、平日の朝から夕方まで愛恵ワークスで作業し、休日は自宅でテレビを見たりラジオを聴いたりして、積極的に運動することがなかった。
約20年前、周囲の勧めもあって運動不足を解消しようと、スイミングスクールに通うようになった。
ほとんど泳いだ経験がなかったという米内さん。最初は水のかき方や息継ぎの練習から始め、次第に10メートル、20メートルと長い距離を泳げるようになった。泳ぎ方については、下半身が思うように動かせないためクロールを断念。平泳ぎに比べて息継ぎがしやすい背泳ぎ1本に絞って練習を続けてきた。
現在も、休日は竜城スイミングクラブ本校(日名町)とドルフィンスイミングスクール(西尾市)に通いながら、タイム向上を目標に練習に励んでいる。「今は背泳ぎだけでなく、平泳ぎにも挑戦しています。これからは世界の舞台を大きな目標として、練習に励みたいと思います」と意気込む米内さんの瞳は、すでに次の舞台を見据えていた。