東海愛知新聞バックナンバー

 10月11日【土】

黄色いアサガオ咲いた

基生研・星野助教ら共同研究
江戸時代以降「幻」と言われ

自然科学研究機構基礎生物学研究所、植物分子遺伝学の星野敦助教(43)らは10日、鹿児島大学とサントリーグローバルイノベーションセンターとの共同研究で、キンギョソウ由来の遺伝子により黄色いアサガオを咲かせることに成功したと発表した。黄色のアサガオは江戸時代の文献で記録が残っているが、現代では存在せず「幻のアサガオ」と呼ばれていた。(横田沙貴)

花の色は、含まれる色素によって決定づけられる。アサガオは黄色系の色素の1つ「カルコン」を生成するが、青系統の色素「アントシアニン」に変化してしまうため、黄色い花は咲かないと言われていた。だが、カルコンをアントシアニンに変化させる遺伝子が欠損すると、カルコンを多く蓄積したクリーム色のアサガオが咲く。

今回の研究で、星野助教らはカルコンと似た構造を持つ鮮やかな黄色の色素「オーロン」を持つキンギョソウに着目。クリーム色の花が咲くアサガオ「54Y」の種子から取り出した胚の細胞に、キンギョソウの「カルコン配糖化酵素遺伝子」と「オーロン合成酵素遺伝子」を導入し、基生研内で栽培。オーロンが大量に作られ黄色い花が咲いた。

研究は平成14年に始まり、20年に初めて黄色いアサガオが開花。今年、再現実験を行い、再び黄色い花が咲いた。

商品化は未定だという。