人間国宝で人形浄瑠璃文楽の第一人者として活躍した七世竹本住大夫さん(89)=今年5月に引退=に対して、岡崎市は5日、市せきれいホールで行われた「文楽公演」の前に感謝状を贈った。岡崎の文化芸術の振興に寄与した功績は顕著としている。(竹内雅紀)
住大夫さんは江戸時代から上演が途絶えていた演目「源氏十二段」を約300年ぶりに復曲し、平成18、19、21、23年の4回、人形浄瑠璃文楽発祥の地・岡崎で文楽公演(市主催)を行った。源氏十二段には、矢矧(矢作)を舞台に繰り広げられた浄瑠璃姫と源義経の悲恋を描いた場面の一部が登場する。
岡崎市は、歴史的な源氏十二段の舞台公演が全国的にも貴重だと高く評価した。
内田康宏市長から感謝状を受け取った住大夫さんは「5月に68年間の舞台生活を引退し、ほっとしている反面、寂しさもある。岡崎は芸術や文化の面で熱があり、親しみやすい雰囲気があった。何よりも反響がすごかった」と振り返り、「今後の文楽の行く末を厳しく見守っていきたい」と述べた。
また、17年度まで文楽公演を主催していた岡崎呉服協同組合はストールを贈った。