国内の感染者数が130人を超えたデング熱。17日現在、感染が確認されていない県内の人でも、残暑が続く中の出張や観光などで、ウイルスを媒介する蚊に刺される可能性は拭い切れない。岡崎市では、保健所と医師会が連携しながら動向に注視する一方、虫よけスプレーなどの需要が関東圏で集中的に高まったことで、ドラッグストアが一時的に仕入れ不足に陥る事態が起きた。(今井亮)
最初の感染者の発生が報じられた先月下旬から同市保健所には市内の内科医院から5件、市民から1件の問い合わせがあった。デング熱の検査や届け出、蚊の防ぎ方などに関する内容だという。
過去、7年前の平成19年にデング熱の感染症例が2件あった同市。当時、渡航歴を持つ日本人が市内の医療機関を受診したことで感染が明らかになった。保健所は、市内で感染が確認された場合、容体や症状、感染経路を調べる疫学調査を経て、蚊の駆除を含めた対策を検討する。
ただ、人から人への感染性はないことから、保健所生活衛生課の担当者は「新型インフルエンザのように恐れる必要はありません」と話す。それでも不安が残る場合の対策として、虫よけスプレーの使用をはじめ、長袖・長ズボンの着用、戸締りの徹底、周辺に蚊やボウフラが発生する水たまりを作らないことなどを挙げる。
「蚊に刺されないこと」が感染予防とされるデング熱。有効手段となる虫よけスプレーの供給は感染が相次ぐ関東圏の需要に追い付けず、市内のドラッグストアが商品の確保に苦慮している。
スギ薬局明大寺店(岡崎市明大寺町)では、今月10日ごろまで発注した品数が入荷せず、肌に直接塗り込むジェルタイプは一時、供給が止まった。同店を含む中部圏の各店舗では現在も、スプレーに対する上限5個までの発注制限が続いているという。
例年通りなら今月末でスプレーのコーナーは姿を消すが、伊藤悠一郎店長(34)は「もしも県内で感染が確認された場合は、買いだめなどで欠品しないように臨機応変に対応したい」と話していた。