岡崎市は8日、昨年12月末で閉館した市民休養施設桑谷山荘(山綱町)を解体すると発表した。時期は未定。施設の活用について自然科学研究機構生理学研究所と協議を進めていたが不調に終わり、ほかに希望する事業者もなかったため。三河湾を眺めることができる展望台や遊歩道は引き続き利用が可能となる。(竹内雅紀)
桑谷山荘は昭和45(1970)年7月21日に市営の国民宿舎としてオープン。標高350メートル、三河湾国定公園内の扇子山に位置し、122人が利用できる宿泊施設だった。三河湾が一望でき、6、7月にはアジサイが楽しめた。社会情勢の変化やレジャーの多様化により利用客が減少、構造上バリアフリー化できない点や施設の老朽化に伴う維持費などが負担となり、平成23年12月に閉館が決まった。
市は、研究用ニホンザルの飼育、繁殖施設を探していた生理研と昨年3月に協議を開始。しかし、繁殖に必要な飼育面積が確保できないなどの理由から今年9月18日に協議が打ち切られた。生理研によると、サル1頭の繁殖には4平方メートルの飼育面積を必要とするが、年間飼育数約440頭分で換算すると、桑谷山荘では1頭当たり約2.6平方メートルしか確保できず、手狭で飼育環境が整わないと判断して断念したという。
内田康宏市長は同日の定例会見の場で「結果については残念に思う。ほかに手を挙げるところもなかった」と述べた。
市は今後、施設を解体し、国定公園にふさわしい形の森に戻すとしている。解体費は約1億円を見込むほか、遊歩道や展望台、トイレ、駐車場などを整備する予定という。