岡崎市門前町の浄土宗・随念寺で平成19年に着工した総ヒノキ造りの三重塔が内部も含め完成し、13日に落慶法会が営まれる。塔内部の彩色や天井画の制作は岡崎市松本町の絵画教室講師、堤久子さんが引き受け、絵はほぼ仕上がった。(岩月健)
完成した三重塔は5.4メートル四方の土台の上に建ち、相輪を含め高さは16.7メートル。内部は心柱と四天柱を側柱12本が囲む。最も大きな1階屋根の一辺は約7メートル。塔の木材にはすべて、長野県木曽地方の国有林から切り出した天然ヒノキが使用されている。
建立を計画した前住職の村田聖厳執行(80)は「塔には夢・希望・忍耐の願いを込めました。塔から人間的、精神的な強さを見出してほしい」と願う。
13日は、午前中に三重塔と大方丈耐震完成を祝って庭儀式、稚児練供養、落慶法会。午後1時からは本堂で三重塔・大方丈の報告と寄進者回向、同2時30分から鶴亀仕舞、二胡、琵琶の奉納演目もある。また、記念行事として18日から20日まで宝物展と茶会も開かれる。
堤さんは学生時代に絵を学び、20代で縁あってお寺の内陣などの修復に携わったことがある。その後、知り合った宮大工から今回の仕事を依頼された。
手がけたのは、三重塔の1階天井を飾る縦横約30センチの9枚、周囲を取り巻く縦42センチ、横37センチの16枚と縦横42センチ4枚の合わせて29枚。いずれもヒノキの板で中央の9枚は金箔を貼った上にハス、キク、キキョウなどの花を図案化して描いた。また、四隅にはツル、カワセミ、サギ、ジョウビタキの絵が描かれ、ほかの16枚にはモモ、ミカンなどの果物やカボチャなどの野菜が描かれている。画材には岩絵の具を使い、伝統的な日本画の手法で描いた。
堤さんは「ご縁があってすばらしい仕事をさせていただきました。わたしの絵でみなさんが心を和ませてくだされば幸せです」と話した。