岡崎市内の小学校を中心に毎月1回巡回してきた自動車文庫「あおい号」が21日、その役目を終えた。最終訪問地の額田地区の小学校では、37年余の歴史に幕を下ろす“移動図書館”との別れを惜しんだ。(竹内雅紀)
市立中央図書館によると、「あおい号」は昭和50(1975)年8月に「みどり号」の名前で、図書館の遠方に住む市民向けにスタートした。56年に1台追加されて2台体制になり、58年に「あおい号」に改称。クリーム色と緑色のボディーと、音楽を鳴らしながら登場する光景が特徴だ。
1台当たり2300冊の本を積んで巡回し、児童数が多い学校では1回の訪問で2台計1000冊以上の貸し出しがあった。平成20年11月に市図書館交流プラザ(りぶら)内に中央図書館が移転してからは、全47小学校と県立岡崎養護学校、滝団地や北斗台団地など計54カ所を回り、主に小学生の読書活動支援に一役買っていた。
しかし、平成23年度に市が行った予算編成前の事前整理(サマーレビュー)で自動車文庫業務の見直しが指摘された。全国的な自動車文庫の減少や財政難などが理由。また自家用車の普及も廃止要因の1つ。平成24年度予算では運営費約1900万円が計上されていた。
近年の年間利用図書数は2台計20万冊弱。内訳は9割が小学生、残りは地域住民だった。団地では、1回で10人程度の利用だったという。
小学校では学級単位で30冊、個人(地域住民)は10冊の貸し出しが可能で、次の訪問時に返却するというシステム。各所では「あおい号」が滞在する50分間で返却と貸し出しが行われた。本棚からお気に入りの本を選ぶのが小学生の楽しみでもあった。最終日となった21日は形埜、下山、夏山、宮崎小の4校を巡回。児童らは「なくなるのはとても寂しい」と残念がっていた。
4月以降、巡回図書システムは形を変えて残る。市は新年度当初予算案に児童読書活動支援業務費として1,080万円を計上。図書館側が各学年に見合った本を選別、セットにしてコンテナに入れ荷物運搬用車両で学校に運ぶ。役目を終えた2台の「あおい号」の活用方法は検討中という。