自然科学研究機構基礎生物学研究所山手地区(岡崎市明大寺町東山)で7日、同機構と国立7大学との「大学連携バイオバックアッププロジェクト」の開始式があった。研究で使用する細胞や遺伝子などを災害時に消失しないよう冷凍保管する拠点施設が披露された。(竹内雅紀)
2年前の東日本大震災で被災した大学や研究機関では研究途中の細胞や遺伝子などを失い、研究活動に大きな支障が出たため、細胞や遺伝子などを保管する施設の必要性が唱えられていた。
プロジェクトは、同機構と北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州の7大学が連携して昨年6月に発足。中核施設として、細胞や遺伝子を集中保管する「大学連携バイオバックアップセンター(IBBPセンター)」が基礎研内にこのほど完成した。耐震性のあるプレハブ工法2階建て、延べ床面積約500平方メートル。総事業費は約3億5,000万円。
センター内には約420万サンプルの保管が可能な液体窒素タンク保存室などがある。タンクでは氷点下190度で凍結保存。電気を使った冷凍庫とは異なり、大震災などで停電が続いても10日ほどは状態を保つという。研究者が窓口となる大学に申請し、基準をクリアすれば最長3年はIBBPセンターで研究用の細胞や遺伝子が保管される。
開始式で同機構の佐藤勝彦機構長は「このプロジェクトを通して、災害に強い研究体制の確立を目指したい」と述べた。