岡崎市民の水源になっている額田地区の森林を再生し、自然と人との調和を目指す「『天使の森』プロジェクト」がスタートした。この活動を紹介する展示会が28日、同市明大寺町の葵丘で始まった。活動拠点の森林の現状を写真で紹介、立体模型でプロジェクトの原案を披露している。(大津一夫)
展示会は、プロジェクトを推進するNPO法人アースワーカーエナジー(小原淳理事長)が主催。葵丘倶楽部と岡崎信用金庫(大林市郎理事長)が共催。
額田地域の山林は、明治から昭和初期にかけての植林により、ほとんどが人工林で占められ、輸入木材の増加で放置されている。山林の荒廃は、水を使う街の住民や産業にも影響。林業の衰退は山間地の人口減少にもつながっている。
こうした問題を解決しようと、同NPO法人は平成20年から「天使の森」プロジェクトに取り組み、岡崎信金も協賛。今月になって活動拠点の雨山地区の山林13.5ヘクタールを、地元の宮崎財産区管理会と市から借りる許可が下りたため、展示会を開くことになった。
雨山地区の山林は標高約500メートル。現地は男川の源流に近く、乙川に合流し、矢作川から三河湾に流れ込む。プロジェクトではまず、山頂付近に自然林を再生させ、イノシシの侵入を防ぐ「猪垣」で知られる万足平に、県立芸術大学教授でアーティストの土屋公雄さんの作品を展示する。
山頂には今後、観察小屋や遊歩道、見晴らし台を整備。生態学、植物分類学の研究者による調査も実施する。同NPO法人理事長の小原さんは「人工林を自然のまま再生するには、100年単位で考える必要がある。多くの市民が自然と人との良好な関係を考えるきっかけになれば」と話している。
同展は12月8日まで。月曜日は休み。12月1日午後5時から会場で、土屋さん、小原さんらが参加するトークが開かれる。