田中真紀子文部科学相が7日に岡崎女子大など3大学の新設を認可する方針を示したことで、関係者らは安堵している。岡崎女子大の運営を予定している学校法人「清光学園」の長柄孝彦理事長は8日、岡崎女子短大で開いた記者会見で「激動の日々で翻弄された感じ。今はほっとしている」と述べた。同学園は来春の開学に向けていったんは白紙になった入試のスケジュールを組み直す。(竹内雅紀)
長柄理事長は読み上げた声明文の中で「大きな安堵を感じている。文科相の問題意識を個別の設置認可事案に性急に結び付けることの問題性と、受験生や関係者への社会的影響の甚大さを多くの人が指摘し、支援してくれたことが今回の結果につながった」と考えを示した。田中文科相の認可決裁が8日に下り、きょう9日に長柄理事長らが文科省に出向いて認可証を受け取る。
同学園によると、今月25日に予定していた推薦入試は1週間ずらして、AO入試と同じ12月2日に実施する。修正した募集要項を14日ごろから配布し、28日ごろまで受験申し込みを受け付ける。来年2、3月の一般入試の日程変更はない。
認可をめぐる一連の“騒動”について長柄理事長は「ルールに則ってやってきたのに、大臣が一言で変えようとしたことに強い憤りを感じる」と語気を強め、「25日の推薦入試を考えていた生徒には大変申し訳なかった」と謝った。また田中文科相の「3大学にとってはいい宣伝になった」発言については「立場をわきまえてほしい。大臣は的確な判断をするのが責務。もっと慎重な発言を」と不快感を示した。
地元の高校関係者もひと安心。生徒3人が同大を第一志望としている光ヶ丘女子高校の大谷広吉教頭は「受験期の生徒が振り回され不安定な状態になっていたが、今は普段通り授業を受けている。正式な要項が届いたら対応したい」と話している。
同学園は、既存の短大を残しながら四年制大学設置を2年以上前から準備し、今年3月に大学設置・学校法人審議会に認可を申請。短大の定員100人を削り、その分を四年制の「子ども教育学部子ども教育学科」(仮称)に充てる。既に短大の教室改修や備品購入などに約2億7000万円を投入、新規雇用で12人の教員も確保していた。
田中文科相が2日に「設置認可の在り方を見直す」として、認可しない方針を表明。長柄理事長は7日、ほかの2大学(札幌保健医大、秋田公立美術大)の関係者と文科省に出向き、笠浩史副大臣に認可見送り撤回を要望。田中文科相は同日、一転して認可を表明した。