岡崎市栄町の写真家、鈴木智彦さん(72)が、同市滝町の滝山寺鬼まつりを2年間かけて撮影した作品を展示する写真展「瀧山寺鬼まつり」がきょう5日、市美術館で始まる。まつりに使われる鬼の面や道具なども公開される。
鈴木さんは、これまで境内から鬼まつりの勇壮な火の乱舞を撮影してきたが、本物の迫力を表現するには物足りない思いをしていた。松明を振る“松明振(たいふ)り”を間近で撮りたいと一昨年、山田亮盛住職に頼んで本堂内からの撮影を許された。
今回は、2年間に撮りためた数百枚の中から選んだ約40点を縦約70センチ、横約1000センチのドイツ製用紙に印刷して展示する。
境内に立てる長さ約3メートルの大松明(たいまつ)を三門から担いで練り歩く「松明行列」の様子から日中に行われる神事の数々まで、克明に記録されている。
メーンの鬼まつりでは松明を持って本堂の内外を駆け巡る松明振りが、床に向けた松明の炎を飛び越していく瞬間や、参拝者のフラッシュに浮かび上がる“松明振り”のシルエットなど、これまでにないアングルで緊迫感が伝わる。
鈴木さんは「誰も撮ったことのない本堂内の様子を作品に残すことができ、とても満足しています」とにっこり。
写真展に合わせて鬼まつりに使われる3つの鬼の面や衣装、提灯(ちょうちん)、うちわ、錫状(しゃくじょう)など約30点のほか、赤絵の画家、斎藤吾朗さん(西尾市)ら著名画家の鬼まつり作品も展示される。
山田住職は「思いがけず大展示会になり喜んでいます。1300年の歴史に新しい1ページが記録されます」と話している。展示は8日まで。