岡崎市民病院は7日、慢性的な病床不足の解消や既存の外来診療機能強化などを目的に、敷地内に新棟を建設すると発表した。病床数を50床増やして700床にし、3種類の放射線治療機器を導入する。平成25年秋に稼働する見込み。(竹内雅紀)
新棟は病棟南にある現在の職員駐車場に建設。鉄骨鉄筋コンクリート造り地上3階、地下3階の6階建て。延べ床面積は、1万589平方メートル。来年2月に着工し、平成25年7月に完成予定。同年10月からの稼働を目指している。建設費は55億7,000万円を見込む。
市民病院の病床利用率は、平成20年度が98.5%、21年度98.9%、22年度98.3%と高い。新棟2階に50床増やすことで緊急入院の支障にもなりうる病床不足が緩和されるとみている。新棟建設に伴い、医師や看護師など約60人のスタッフを増員する。
また、新棟には死因の約3割を占めるがんの治療の充実を図るために、地下3階の放射線治療室に新たな機器を導入。汎用性が高いリニアック、前立腺がんに効果的なIMRT、子宮頸がんに有効なラルストロンで、これら3機器で年間6,300人のがん患者を治療できると試算している。
既存の病棟から新棟に移るのは、血液内科や産婦人科、外科などの外来部門のほか、医局や管理部門。3階は今後を見据えて、空きスペースにする。
新棟建設によって生まれる既存病棟の空きスペースには外来診療機能を再編する。特徴的なのは、3階に設置され、県内初となる血管撮影装置と手術室を一体化した「ハイブリッド手術室」。より複雑な病変を体への負担が少ない方法で治療することが可能になる。25年1月からの運用開始を目指す。
既存病棟西側の第2駐車場には26年度中に救急棟が建てられ、減少した駐車場を補うために第1駐車場南側には265台分の3階建て立体駐車場が建設される。新棟建設を含む総事業費は79億円。