統一地方選前半戦となる愛知県議選はあす10日、投開票される。東日本大震災の影響で各候補者が派手な演出を控える“自粛ムード”の選挙戦もきょう限り。「今回は情勢が読みにくい」と口をそろえる各陣営は、中心街やそれぞれの地元を集中的に駆け回り、「最後のお願い」にと声を張り上げる。各選挙区の情勢を追った。(県議選取材班)
岡崎市選挙区(定数4)には、現職2人、新人3人が立候補。激しい戦いを繰り広げている。
自民党現職の内田康宏氏(58)は、地盤の市中心部を軸に地道な選挙活動を展開。個人演説会や街頭演説などを小まめに行い、6期24年の実績と現実路線を強調。最終日の9日は大型商業施設などで政策を訴える。同党現職の青山秋男氏(64)は、地盤の市南部を中心に票固め。「今までで一番厳しい選挙」と位置付け、5期20年の実績と河川改修、インフラ整備の展望を中心に訴えている。9日は地元で個人演説会を開く。
同党新人の中根義高氏(38)は、父親から譲り受けた地盤(市北部)を中心に若さをPR。震災対策を主軸に訴え、8日の総決起大会には推薦を受ける地域政党「日本一愛知の会」代表の大村秀章知事も応援に駆け付けた。日本一愛知の会新人の園山康男氏(46)は、8日の総決起大会をはじめ選挙期間中に大村知事の応援を3日間受けるなど空中戦を展開。党への追い風を背に、県議会改革など訴えている。9日は地盤の市東部を練り歩く。
民主党新人の西久保長史氏(56)は、トヨタ労組を中心とする組織票固めを中心に活動。震災で自動車関連工場が操業停止になり、声掛けが不足がち。懸念材料を払しょくするため9日に総決起大会を開く。
いずれも陣営も「震災の影響で有権者の関心が薄いのでは」と低投票率を不安視している。
定数が1議席増えた豊田市選挙区(同5)には、現職4人と新人2人が立候補。
自民党現職の倉知俊彦氏(79)と三浦孝司氏(67)はこれまでの実績などを訴え、議席保持を狙う。党勢拡大を目指す民主党は、逆風の中、現職中村晋氏(56)と新人樹神義和氏(42)が労組の組織票固めに懸命。公明党現職の小島丈幸氏(57)は、支持母体・創価学会を中心に総力戦で西三河唯一の議席死守に躍起だ。日本一愛知の会新人の岡田恭和氏(51)は、知名度不足を補うため街頭演説などを通して支持を訴えている。
西尾市選挙区(同2)は現職と新人2人の3つどもえ戦。
自民党現職の川上万一郎氏(66)は個人演説会や練り歩きを通して実績を強調している。民主党新人の稲垣昌利氏(34)は、若さをPRして自転車遊説などで有権者への浸透を図っている。日本一愛知の会新人の筒井登氏(64)は、大村知事の支援を背に、無党派層へ支持を呼び掛けている。
幸田町役場出身者同士の現職と新人の一騎打ちとなった額田郡選挙区(同1)は激しい選挙戦。
自民党現職の鈴木正氏(68)は個人演説会を通して、2期8年の経験をアピール。日本一愛知の会新人の鍋田堅次郎氏(59)は政党色を前面に出して浸透を図っている。