自然科学研究機構・生理学研究所の柿木隆介教授と仲渡江美研究員、中央大学の山口真美教授の共同研究グループが、人見知りを覚える生後7〜8カ月の乳児の脳反応が母親の顔を見た時と他人の顔を見た時とは異なることを初めて解明したと発表した。
研究成果は来月、小児期から学童期を対象にした研究を紹介しているアイルランドの認知科学専門誌「アーリー・ヒューマン・デベロップメント」電子版に掲載される予定。
グループは、近年開発された「近赤外線分光法」と呼ばれる手法で、近赤外線を乳児の左右側頭部に当て、脳内のヘモグロビンによる血流を測定。男女の乳児計15人に、常に接して顔を覚えている母親と、見知らぬ他人の顔を反復して見せたところ、母親の時は他人の時に比べ、左側頭部の血流が活発化したことを確認した。
左側頭部は言語処理に関係する脳内領域で、グループでは今回の研究成果から、乳児が母親と言語的コミュニケーションを図ろうとしている可能性があり、乳児が覚える人見知りのメカニズム解明につながるとみている。(今井亮)