岡崎市は19日、同市鳥川町中貝津に自生する市指定天然記念物「とよとみ梨」(学名・トヨトミナシ)の樹木医による治療を公開する。トヨトミナシは直径2.5センチほどの小さな実をつけるが、強い渋みで食用には向かないヤマナシの原種。(今井亮)
トヨトミナシの木は幹周り4メートルに及ぶ推定樹齢300年の古木だったが、昭和34(1959)年の伊勢湾台風で倒れて枯死。その後、分岐枝を植栽したところ、幹周り1.5メートル、高さ8メートルに成長。しかし、昨年10月の台風18号の強風で再び倒木してしまった。
トヨトミナシを蘇らせるため、市では林野庁の補助事業「巨樹・古木林等保全管理推進」に応募。事業に採択されたことから、今年度中は、県樹木医会の専門家による枝の剪定、根の保護、木起こし、鉄製の支柱の設置などの“治療”を施している。
公開治療では、西尾市の樹木医が、根元の開口部(空洞)を切除し防菌処理をする。治療後の当日、鳥川町の住民をはじめ、豊富小学校と額田中学校の生徒らが根の発育を促進する養分の多い土を搬入する。