岡崎市河合中学校で25日、県弁護士会西三河支部による社会科教室が開かれ、3年生31人が模疑裁判を体験した。同校での模擬裁判授業は2年ぶり。大人顔負けの鋭い指摘もあった。(竹内雅紀)
被告人の男が、自分が好意を抱いていた女性と友人の男性が交際しているのに腹を立て、ガラス製の灰皿で友人を殺害した―との想定。生徒は裁判官、裁判員、検察官、弁護士、被告人、証人などを務めた。
起訴状の朗読や冒頭陳述、被告人質問、証人尋問など審理の一通りの流れをシナリオに沿って朗読。凶器となった灰皿を手に持ちながら、意見を述べる生徒もいた。検察側は懲役10年を求刑、弁護側が無罪を主張。評議では、裁判官と裁判員以外に傍聴人役の生徒らもグループで判決について話し合った。
判決では裁判長役の吉玉葵さん(15)が、懲役4年5月を言い渡した。判決後の検証会では、「証拠が不十分」「死刑では重すぎる」「刑務所で反省させるためにも執行猶予は不要」「被告人の過去の暴力沙汰(ざた)は本件には関係ない」などの意見が飛び交った。
裁判官役に立候補した吉玉さんは「6人の裁判員を含めてみんなで決めたことには納得しています。先入観を持たずに臨むことができ、とてもいい経験になりました」と満足げに振り返った。
授業を担当した松山剛久弁護士(32)は「的確に考え、多角的なとらえ方ができていた。5年後に裁判員になっても十分に期待できる内容だった」と太鼓判を押していた。