岡崎市図書館交流プラザ(りぶら)内の岡崎むかし館で、企画展「市立図書館の歩み」が開かれている。2年後に開館100周年を迎える同図書館の歴史を振り返ると、貴重な情報の収集・発信拠点としての役割が再確認できる。(大津一夫)
明治45(1912)年7月、門前町の隋念寺下の常福院を仮館舎に、「岡崎町立通俗図書館」として開館したのが始まり。その後、岡崎公園内に移転。昭和20(1945)年7月の空襲で全館が焼失、2代目館長だった柴田顕正さん(故人)が「岡崎市史」編さんのために集めた資料も失われた。
六供町や康生町に移転したあと、46年に明大寺町に新館が完成。平成20年11月、康生通西4に同プラザとしてオープンした。
こうした同館の歴史と社会の動きを載せた年表のほか、昭和48年から52年5月まで不定期に発行されていた広報誌「読書のひろば」、大正時代の「閲覧券」、貸出中であることを示すため書架に入れられた「代本板」、コンピューター管理になる前に使われた「貸出券」、白紙の本に貸りた人が自由にストーリーを書いた「創作する本」などが並ぶ。
また、同館が郷土の偉人や作家の資料を独自に収集している「家康文庫」「鶴田卓池文庫」「菅江真澄資料内田文庫」も紹介されている。
企画展のために資料収集などを行ってきた同館企画班副主幹の小林清司さんは「大正時代の蔵書は、大半が地元の文化人からの寄贈品であったことや、戦前の蔵書数は全国に誇る規模だったことなどが分かった」と話し、「2年後の100周年に合わせ資料を収集しています。心当たりの人は連絡を」と呼び掛けている。問い合わせは市立中央図書館(23―3167)へ。
同展は入場無料。12月21日まで。水曜日は休館。