がんを克服して演奏活動を続ける杉浦貴之さん(39)の「トーク&ライブ岡崎りぶら」が31日、岡崎市図書館交流プラザのりぶらホールで開かれる。企画したのは同市伊賀町の介護士鬼頭理恵さん(33)。杉浦さんの歌詞に、自分のつらい体験を重ねて感動した鬼頭さんは、「歌で泣かせ、トークで笑わせる杉浦さんの舞台をぜひ多くの人に見てもらいたい」と呼び掛けている。(大津一夫)
鬼頭さんが21歳のとき両親が離婚。父親とは音信不通になった。22歳で結婚した鬼頭さんは、長男の出産を機に父親と連絡を取り合うようになり、次男を妊娠した。
ところが、臨月になっていた平成18年の元日、父親が自殺した。「なぜ? もっと頻繁に連絡をとっていれば…」と苦しんだ。
昨年3月、友人からもらった杉浦さんのCDを聞いた鬼頭さんは、歌詞に自分の体験と重なるものを感じた。4月には名古屋でのライブに行き、杉浦さんと会って話し合った。「楽しい人」というのが第一印象だった。
杉浦さんは西尾市出身で、現在は岡崎市福岡町在住。28歳のとき腎臓がんを発症。医師から「余命は半年か長くても2年」と宣言された。
手術後、抗がん剤の副作用に苦しみながら奇跡的に回復。「命はやわじゃない。何事もあきらめるな」という思いを歌うライブ活動や、情報誌「メッセンジャー」の編集長としても活躍している。
鬼頭さんは、杉浦さんのライブ活動を支援しようと、「チームメッセンジャー岡崎」を組織。NPO法人岡崎福祉ネットワーク理事・中澤恵さんらも加わった。
これまで市内のレストランや教会などで杉浦さんのミニライブを開催してきた鬼頭さんは、「杉浦さんを知ったことで、いつ死んでもいいと思っていた私の人生が輝き出した。トークを聞いていると『こんな考え方もあるのだ』と思う。絶対あきらめない人生を教えてくれた」と話す。
これに応えて杉浦さんも「多くの人に、人生って楽しいと感じてもらえたらうれしい。たまにはズッコケもあります」と話した。
杉浦さんのトーク&ライブは午後2時開演。ピアノ榊原ゆかりさん、オーボエ石原正大さん、ギター佐野信幸さん、パーカッションのケンゾーさん、ベース山本英宣さんが共演する。
入場料は2,000円、小中学生は1,000円。当日券は500円増。チケットの問い合わせは鬼頭さん(080―3655―4734)へ。