岡崎市の全小学校で19日、卒業式が行われ、男子1900人、女子1811人の合わせて3711人が、通いなれた学び舎(や)を巣立っていった。額田地区の鳥川、大雨河、千万町の3小学校は今年度限りで閉校が決まっており、最後の卒業式となった。
ホタルの学校として知られる鳥川小の卒業生は1人。708人目となる今泉圭貴君が、平木教男校長から卒業証書を受け取った。
平木校長は「全校のリーダーとして立派に責務を果たし、自分の気持ちを素直に表す姿に感心しています。たくましく成長することを願っています」と式辞を述べた。
今泉君は「最後の1年は不安でしたが精いっぱい頑張りました。多くのことを経験し、心も成長しました。一生の宝です」と振り返り、学校関係者や同席した両親に感謝の気持ちを表した。また、鳥川ホタル保存会に引き継がれるホタルの保護活動に協力する意志も示した。
「閉校は寂しいですが、僕たちの心の中には残ります。ありがとう鳥川小学校」と述べると、思わず涙ぐむ教員も。在校生5人は今泉君との思い出を発表し、握手をして送り出した。
同校は2度の火災で資料が焼失したため、卒業生数は確認できている分だけという。
卒業式後には、岡崎東ロータリークラブ(山内隆一会長)が閉校記念として寄贈したシダレサクラの苗木6本の植樹が行われた。(竹内雅紀)
大雨河小学校では、在校生12人と来賓ら約20人が見守る中、稲吉治校長から岩月尚美さんら2人に卒業証書が手渡された。最後の卒業証書は第693号となった。
稲吉校長は式辞で2人から、あきらめない気持ちや他人のために心配りすることを教えられたと話したあと、「心の目を豊かにし、ふるさとを愛する心を持ち続けてほしい。苦しくなったら、大雨河に帰って心を癒やしてほしい」と結んだ。
呼びかけによる「お別れのことば」では、卒業生が6年間の思い出を感謝とともに述べ、在校生は卒業生とかかわった思い出を振り返った。その間、正面の大型画面に懐かしいシーンが写し出された。呼びかけの中で、卒業生の岩月さんがピアノの弾き語りで「旅立ちの日」を披露した。
最後は教職員も交えた全員の歌う校歌が式場いっぱいに響き、参列者を感動させた。(岩月健)
千万町小学校の卒業生は荻野航平君と伊藤かすみさんの2人。
平岩和博校長は式辞で、「この1年間はマリンバ合奏のコンサートマスター、児童会代表として頑張ってくれました。今年度の岡崎市ジュニア・アンサンブルコンクールでは、2年連続で市長賞を受賞するなど、多くのものを学んだと思います。学校は閉校になりますが、いつまでも航平君、かすみさんを応援しています」と激励した。
在校生3人が2人の思い出を述べたあと、荻野君、伊藤さんが「全校音楽では心を1つにすることができ、大きな自信になりました。これからは自分のことは自分でできるようにしたい」とお別れの言葉を述べた。
最後に在校生も加わってマリンバの演奏を披露。荻野君から在校生代表の4年生・荻野成生君にコンサートタクトが渡された。
同校の卒業生は、学制が変更になった昭和22(1947)年度から今年度の2人を含め368人。(大津一夫)