岡崎市福祉事業団が管理・運営する市内7施設が、入浴施設の湯船に季節の花などを浮かべる“香り湯”に力を入れている。利用を呼びかける取り組みだが、7施設で使える入浴券の給付を含めた市の「寿バス優待券等給付事業」が今年度末で廃止となることもあり、各施設は「少しでも利用者の心をつなぎ留めよう」と、知恵を絞っている。(今井亮)
7施設(高年者センター岡崎、福祉の村、中央と東西南北の各地域福祉センター)では毎月26日を「風呂の日」として、通常100円の入浴料を無料にしている。香り湯の実施日は固定していないが、多い施設で月2回という。
昨年8月に初めて、7施設でラベンダーの香り湯を実施して以来、各施設がサクラやヨモギ、ショウブ、ミカン、ユズなど独自の香り湯を次々と企画し、入浴したお年寄りからも好評だ。
昨年11月に3階の入浴施設をリニューアルした高年者センター岡崎(同市美合町)。他の施設と連動して、今月26日に、間伐したヒノキを輪切りにして湯船に浮かべる。
輪切りにしたヒノキは直径約10センチ、厚さは1センチから3センチほど。ヒノキが浮かんだ湯船からは、清涼感のある香りが立ち上る。
ヒノキの香り湯は中央地域福祉センター(梅園町)のアイデア。乾燥したヒノキが手に入る今年の1月末にヒノキを間伐し、樹皮をはがす作業から輪切りの加工まで、すべて職員が行った。
同事業団の佐藤好春・施設サービス課長は「事業の廃止が利用者の減少につながるのではという心配はあります」としたうえで、「それでも職員同士が、少しでも利用者に楽しんでもらえるアイデアを出し合い、どんどん発信していきたい」と話していた。