交番を花で明るくしたい―。毎週、岡崎署伊賀交番に花を生けている岡崎市葵中学校3年の内藤まり子さん(14)が、このほど岡崎署から感謝状を受け取った。内藤さんは「素直にうれしいです。中学卒業まで続けたいです」と、花にも負けないかわいらしい笑顔で話している。(竹内雅紀)
内藤さんが同交番に花を生け始めたのは中学2年になったころから。祖父の家の近くにある交番の前を通るたびに、「かっこいいけど、怖いイメージも強かったです」と、警察官への恐怖心を抱いていた。ちょうどそのころ、華道の先生の資格を持つ母由美子(38)さんから華道を教わり、「交番に花があれば明るくなるのでは」と思いついた。勇気を出して交番に「花を生けさせてもらえませんか?」と電話すると「ぜひ」との返答があり実現。由美子さんとの約束で毎週通うことになり、徐々に華道の技術も上がっていった。「行事に合った花を生けるようにしています。私自身は、特にカーネーションが好きです」。
同交番に勤務する日髙博巡査部長(30)は「入ってすぐ見える位置にあるため、交番内が明るく感じます」。交代勤務の署員らが、枯らさないように水を足したり、しおれた花を片づけたりしている。「警察の方には、本当に感謝しています。楽しく話せるようにもなり、怖いイメージがなくなりました」と内藤さん。
内藤さんは、この実体験を作文にし、昨年の「明るい社会づくり岡崎地区実践体験文」コンクールで市長賞を受賞。同年12月12日付の本紙に受賞作を掲載したところ、それを見た同署が内藤さんへの感謝状贈呈を決めた。中学生あてに署長名入りの感謝状を贈呈するのは極めて異例という。
内藤さんは「感謝状なんてもらってよかったのかな」と謙遜(けんそん)。高校受験を間近に控えて忙しくなるが、「卒業までは続けたいです」と話していた。