東海愛知新聞バックナンバー

 1月23日【土】
ホスピス研究会OKAZAKI
発足10周年

末期がんと命を考える

患者、医療従事者に高まる関心

命の医療を考える場を提供しようと活動している、ホスピス研究会OKAZAKI(金田亜可根代表)が、発足10周年を迎えた。ホスピスとは、末期がん患者の苦痛や不安をやわらげ、家族の心のケアを行う場のこと。金田さんは「ようやく患者や医療従事者に関心が高まってきました。さらに広くホスピスについて理解してもらうため、市民へアピールを続けたい」という。(大津一夫)

金田さんは約30年前、生後間もない長男を病気で亡くした。12年前には大腸がんで亡くなった同級生の死にも立ち合い、末期医療を考えるきっかけになった。

平成11年、英国のホスピスを紹介する島津禎久さんの写真展を岡崎の葵丘で開催。来場者から「もっとホスピスについて知りたい」と声が上がり、12年1月、会を設立した。現在の会員は約100人。運営などを手伝う支援者が100人ほどいる。

欧州の一部では末期がん患者に対する痛みをやわらげる緩和ケアは病院で、心を支えるホスピスは教会で―と役割が決まっているが、日本では不十分。

そこで、末期がんの患者が医療に何を求めているのか、また患者本人、家族は何ができるのかを、それぞれの立場で考えていこう、というのが会の目的。

毎年11月、岡崎市内で展示会「街の中から情報発信」を開き、県がんセンター中央病院で会員が模擬がん患者になり、治療や診断などのやりとりを記録した冊子「もしもがんになったら」も発行している。

昨年5月から岡崎市中町の長誉館で患者と医療従事者が、がん医療について話し合う連続講座「皆で話しましょう」を開催。延べ120人を超える受講者があった。今年度は「実行しましょう」を合言葉に、受講者で患者力向上、在宅関連、緩和ケアの周知、病院環境などの実行委員会を組織して活動する。

金田さんは「患者は1人ずつ求めるものが違う。患者と医療従事者、家族がお互いの立場で話し合うことで、より良い医療が実現できます」と語る。

岸本さん講演会

同会では10周年を記念して、2月6日午後1時30分から岡崎市図書館交流プラザ・りぶらホールで岸本葉子さんの講演会を開く。

神奈川県在住の岸本さんは8年前、虫垂がんの治療を受け、その体験をつづった『がんから始まる』(文春文庫)が話題になった。現在、NPO法人HOPE★プロジェクト「希望の言葉を贈りあおう」実行委員代表。

当日は、「がんからの8年―支えて、支えられて」をテーマに話す。参加費は1,000円。申し込みは金田さん(26―5787)へ。


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