車の地産地消―。岡崎市上青野町の会社員萩原勇生さん(46)は愛車「ランサーセレステ」(三菱自動車工業)を乗り続けて30年になる。「地元で造られた車には愛着があり、少しでも長く乗りたい」と“現役続行”を宣言している。
同社の代表格「ランサー」のクーペタイプのセレステは、昭和50(1975)年に生産を開始したが、わずか5年で中止に。同市橋目町の同社名古屋製作所(岡崎工場)でも生産されていた。
セレステは女性に受けが良く、萩原さんの姉が54年に購入(当時の価格で約120万円)。萩原さんは運転免許を取得後、姉と共有して運転し、8年後に自分の名義に変更した。当時としては珍しくFMラジオを受信でき、角ばったスタイルなどが人気を呼んだ。
現在は主に「ガレージの中が多く、コレクションに近い存在」(萩原さん)だが、年間100キロほどは気分転換程度に運転する。「これだけの車だから、すれ違う人は気になるみたい」と笑う。走行距離は8万7,000キロ。このほど車検を終え、間もなく31年目を迎える。
長年整備を担当している中部三菱自販岡崎上和田店の整備士(42)は「常にきれいな状態です。現在の車と違って、構造がシンプル。ただし、経験のある整備士でないと難しいかも」と語る。
萩原さんによると、現在セレステを保有しているのは県内でも4人ほど。岡崎市内で走っている岡崎工場製のセレステは萩原さんの車が最古。「譲ってほしいという人もいます。でも、できるだけ末永く乗りたい」と話す。
木製のハンドルやホイールなどは、購入時のまま。萩原さんがマニア必見の愛車に乗ってさっそうと街中を走る姿は、しばらく見られそうだ。