岡崎演劇集団(浅井克彦代表)の創立40周年記念定期公演「靄(もや)たなびく谷間の村で」が、10月10,11日、幸田町民会館で開かれる。アマチュア劇団として春と秋の年2回の定期公演を続けているほか、地域の子どもたちにも演劇鑑賞の場を提供。質の高い舞台芸術を目指すとともに、今後は若い人の入団が課題になっている。
浅井さん(78)が演劇に親しみ始めたのは、戦後間もなく。俳優の杉浦直樹さんらが高校の同期で、仲間として活動した。
昭和43(1968)年秋、演劇の好きな人たちが大同団結して岡崎演劇集団を創立。翌44年、第1回定期公演を開いた。
当時は寺の本堂などを借りて稽古(けいこ)をした。雨が漏るからと、本尊を避難させたこともあった。
浅井さんが欠町に自宅を新築したのに伴い、稽古場に提供。十分な広さがなかったため、大道具を道路上で作ったこともあった。
20年ほど前、鴨田南町に土地を借り、団員らが資金を出し合って独自の稽古場を建てた。
自分たちの稽古場ができたことで「稽古場公演」も開催。地元に貢献しようと、大樹寺小、梅園小の子どもたちを招いて宮沢賢治原作の「注文の多い料理店」、木下順二の「瓜子姫とアマンジャク」などを上演。話を聞いて梅園小の1クラス全員が鑑賞に訪れたこともある。
現在の団員は20歳代から70歳代まで女性6人を含む16人。会社員、 主婦、 公務員、銀行員、教員と職業はさまざま。毎週火曜日、木曜日、土曜日の夜、稽古をしている。
浅井さんは「40年間、見続けてくれているファンもいます。上演のあとで手紙をくれたり、感想を話してくれたりするのが私たちの支え」とファンに感謝。「演劇は観客の反応が直接分かるのが魅力。もっと若い人たちにも参加してほしい」と話している。
「靄たなびく谷間の村で」は、10年ぶりのオリジナル脚本。作・夏目つとむさん、演出は浅井さん。
戦争中、捕虜を使ったダム建設の責任者として戦犯の汚名を着せられたまま元軍人が亡くなった。家族たちは後ろ指をさされながら生きるが、部下が元軍人の手記を保管していることが分かる。そこには軍人として誠実に生きたことが書かれていた―というストーリー。
団員のほか、ほかの劇団からも3人が参加。家族4代の物語が展開する舞台を盛り上げる。
10月10日午後6時30分からと、11日午後2時からの2回公演。
入場料は一般1,500円、高校生・中学生700円。チケットは同劇団稽古場(28―3363)で販売。ただし火、木、土曜日の午後8時〜10時。ほかに材木町のちいさいおうち、安城市朝日町のあんぐるCafeでも扱っている。