新型インフルエンザの感染や感染が疑われる症状から、岡崎市内の小学校などに学級閉鎖が広がっている。こうした中、市内の全51小学校の6年生が10月下旬から11月初旬にかけて予定している修学旅行を、実施するかどうか―。市教委などは、決め手がなく苦慮している。
市保健所によると、6月28日から今月18日までに市内の小学校では7件の学級閉鎖、学年閉鎖、学校閉鎖の措置が取られた。中学や高校にも学級閉鎖が及んでいる。
現段階で市教育委員会は、県教育委員会が示す「1学級内で約10%に相当する児童が新型インフルエンザに感染した場合、学級を4日間閉鎖する」という方針に従っている。
修学旅行シーズンまで方針が維持されると、1学級でも学級閉鎖措置が取られた時点で旅行は中止または延期となる。ただ市教委と保健所は「旅行が中止にならないよう感染予防を図ることが最優先」と口をそろえ、感染防止対策として、うがいや手洗い、体調管理の徹底を呼びかけている。
しかし、実施か否かの判断は原則的に学校側に委ねられており、各校は旅行の1カ月前からそれぞれ開く保護者会で、旅行を予定通り進めるか中止するかを、保護者側と意見を出し合って決定する。通常、旅行前の保護者会は1回だが、学校側と保護者側に大きな意見の相違があれば、再度開催して決定することになる。
保健所は「今後、学級閉鎖などはもっと増える」とみている。修学旅行については「1人でも感染者がいる集団で行動すれば、感染拡大につながりかねない」と警鐘を鳴らす。
市教委は「一生に一度の思い出が残る旅行は行かせてあげたい」と話す一方、「最悪のケースとして直前に旅行中止を決めた際は、保護者に理解を求めたい」とするが、苦悩は深い。