県が県内の優れたものづくり企業を認定する「愛知ブランド企業」に、岡崎市内の大和化成工業(保母町)と鈴木化学工業所(福岡町)の2社が選ばれた。市内では制度が始まった平成15年から19年までに13社が認定されており、これで15社となる。両社の喜びの声と企業精神を紹介する。
県への申請書を取りまとめた村山貴俊総務部長は「業界では知られているが、広いフィールドで見た場合、会社の特徴が弱く、認定されるかどうかは半信半疑だった。素直にうれしい」と話す。
ワイヤハーネス(自動車用電線)を固定するプラスチック締結部品「クランプ」のシェアは国内自動車メーカー向けの約4割を占める。クランプは一般ユーザーが目にすることはないが、同社は特許を取得し、自社で生産機械を開発するなど優れた技術力を持っている。
社内の各フロアには「積小為大」の文字。1972(昭和47)年の創業以来、小さなことをおろそかにせず、一つひとつ積み重ねてきた。
クランプをはじめ約2000種類の部品を生産する同社だが、村山さんは「市内でもまだまだ知られていない存在」と嘆く。ブランド企業の肩書きは、会社をPRする一つの"武器"となる。
「(目標とする)地域貢献の足掛かりにしたい」
「取り引き先などに対して、自社の強みを知ってもらうきっかけになった。存在が知られたことでいろいろなつながりができ、社員も仕事に対する誇りを強固なものにした」と喜びを語るのは、小幡和史取締役。
自動車の「走る、止まる、曲がる」性能には不可欠な安全性を支える、プラスチック製の「保安重要部品」が年間売り上げの約7割を占める。フューエルキャップ(給油口のふた)、パワーステアリングの動力源である油圧用オイルを入れるタンクなどを主力製品に、月に約800品目を量産する。
「後工程はお客様」「継続的に改善」「お客様の信頼と満足」が品質方針のキーワード。不景気の中、小幡取締役は「だからといって妥協はできない」。自社が誇る技術の精度を軸に、電気自動車などへの対応も視野に入れている。
「月2回の会議では技術の転換、活用についての意見が交わされる」。提案し、発信できる企業を目指している。