岡崎市岩中町の西方寺太子堂と岩谷観音で17年ぶりの「ご開帳」がある。関連行事として28日は稚児行列、29日は奉納餅(もち)行列が行われる。26日までに、隣接する西方寺太子堂と岩谷観音には地元の人たちが紅白の幕を張り、ほぼ準備が整った。
『西方寺誌』によると太子堂の開基は不明だが、草庵時代が続いたあと、次第に寺の形になって天台宗に帰依した。太子堂には16歳の聖徳太子像が安置されている。一方、岩谷観音は1250年ほど前の奈良時代、名僧行基がこの地に立ち寄り、聖観音菩薩像を彫って安置したとある。聖観音菩薩像は安産、開運、厄除(よ)けにご利益があるとされ、西方寺の聖徳太子像とともに17年ごとに公開される。
岩中町(相馬正則総代)では昨年5月、住民15人で御開帳実行委員会(天野金典委員長)を組織し、準備を進めてきた。
28日の稚児行列には215人が参加。岩谷観音の聖観音菩薩像の右手小指から木綿糸と妊婦が着けるさらしの腹帯が結ばれ、参道に沿って竹につながれる。当日は午前10時30分、近くの特設会場から稚児行列が出発。東西に分かれて約300メートルと約150メートルを歩き、参道の木綿糸の間を通って岩谷観音に到着する。午後1時30分から法要が営まれる。
29日は、岩中町と近隣の板田▽田口▽大井野▽蔵次▽須渕▽中伊西―の7町が餅を入れた俵を運ぶ奉納餅行列が各町を出発。午後2時の法要に続き、餅投げが行われる。
実行副委員長の稲葉富士広さん(60)は「前回の平成4年はまだ会社勤めをしていたので、よく覚えていません。長老らの指導を受けながら準備を進めています」という。
実行委員長の天野さん(76)は「前回は餅投げの餅を家で味わった思い出があります。今回はみなさんの協力で、立派な行事にしたい」と話している。