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東海愛知新聞

語り継がれる怪談

梅園小 校内の2像にも数々の物語

夏真っ盛りのこの時季、うだるような暑さの中で一時の涼を与えてくれる怪談は、昔も今も多くの人に親しまれている。一般的には「四谷怪談」や「番町皿屋敷」などが有名だが、岡崎市最古の公立小学校である梅園小に伝わる“怖い話”を紹介する。子どもらが伝えてきた素朴でちょっぴり不思議な物語から見えてきたものとは―。(犬塚誠)

同校は1871(明治4)年に創設された「市学校」が起源。150年を超える歴史があるが、長い伝統の中でさまざまな怖い話も受け継がれてきた。取材では6年生4人から聞き取りを実施。複数の話を確認することができたが、今回は同校に立つ2つの像にまつわる物語を紹介する。

ぶどう少年

同校正門南側に立つ「ぶどう少年像」については、午前0時になると首(一説には“大事な所”とも)が回転するとされているほか、手に持ったブドウの実の数を数えると、夜におのを持って襲いに来るとも言われる。「実を数えた」という女子児童は襲われることはなかったものの、「ぶどう少年が出てくる奇妙な夢を見た」と振り返る。

二宮金次郎

ぶどう少年像と門を挟んで向かい合うように立つ「二宮金次郎像」に関して伝わるのが「背負ったまきの本数を数えると骨が折れる」という話。数を数えることで何かが起こるというストーリーは、ぶどう少年像の話とも共通性が見られる。「金次郎像が夜中に動き出してグラウンドを全速力で走る」という話もあり、その姿を見た者は朝まで一緒に走らされるのだという。

こうした話はいつごろ成立したのか。明確な起源は定かでないが、ぶどう少年像の台座には1957(昭和32)年に石像として建立され、91(平成3)年に現在の銅像に建て替えられたと記されている。二宮金次郎像の建立は、同校の歴史をまとめた『うめぞの風土記』に「昭和6(1931)年3月20日」の記述が見られることから、おおむねこの90〜60年ほどの間に成立したことは確かなようだ。

また、児童に「どこで話を知ったか」と尋ねたところ、友人などのほかに「きょうだい」や「同校出身の親」という回答が得られた。つまり、世代間で異なるストーリーが学校での会話で組み合わさり、さまざまな派生形が生まれていった可能性が高いと言える。

友人から友人、親から子へと多く語り継いできた物語の数々。2つの像はそうしたことを知ってか知らずか、きょうも子どもたちの健やかな成長を見守り続けている。

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