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東海愛知新聞

命を尊重した自然分娩

岡崎 吉村医院あさひ産婦人科

妊婦の薪(まき)割りや和室での分娩(ぶんべん)で知られる産婦人科「吉村医院」(岡崎市柱町)がこのほど、道路を挟んだ北側に移転し「吉村医院あさひ産婦人科」(同町)として開院した。田中寧子(やすこ)院長(49)は「地域の産婦人科として、自然なお産をサポートしたい」と妊婦を温かく見守っている。(竹内雅紀)

吉村医院は1928(昭和3)年に乙川の殿橋付近で診療所を開院。戦後、柱町に移転し、61年には吉村正氏が2代目院長として引き継いだ。出産を控えた妊婦が運動の一環として薪割りや雑巾掛けを行ったり、畳の上でのお産(和室分娩)を実施したりと次々に他にはない取り組みを取り入れていった。

東京出身の田中院長は東京で開かれた正氏の講演会で、そうした産科医療の考えに感銘を受け、2010(平成22)年に同院に勤めるようになった。「『お産は文化』という先代の言葉は印象的だった」と振り返る。14年に正氏が引退し、田中院長が3代目として切り盛りすることになった。自身も44歳だった17年に同院の和室分娩で長女を出産。同年に正氏は他界した。

建物の老朽化を理由に移転を決意。今年3月25日に「吉村医院あさひ産婦人科」としてスタートした。木造2階建てで雰囲気が一変した。

現在は薪割りや雑巾掛けなどは行っていないが、和室分娩や南公園などへのピクニック、妊婦とそのパートナーを対象にした両親学級などは継続している。「かつては市外、県外からの妊婦さんが多かったが、最近では市内の方も増えている。命を尊重し、『自然なお産』を望む方の選択肢として、少しでも長く続けたい」と田中院長。吉村医院で産まれた子どもが母親となって出産を同院で経験することもあるという。「輝く命の礎となる場所を提供したい。落ち着いて安心して子どもを産める場所を整え、迎え入れたい」と笑顔で語る。問い合わせは、同産婦人科(51―1895)へ。

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