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東海愛知新聞

ブランド化目指す

岡崎漆プロジェクト始動

岡崎市内の耕作放棄地で漆の木を育て、文化財修繕や伝統工芸品の材料として活用されている漆を生産する公民・産官学連携事業「岡崎漆プロジェクト」が18日、発足した。漆は木の成長に10年程度の時間を要するとされているが、軌道に乗れば耕作放棄地や山林の有効活用、林業の六次産業化、ものづくり・新産業の振興、二酸化炭素吸収といった効果が期待されている。()

同プロジェクトでは三河漆の復活と共に、岡崎産の漆のブランド化を目指す。三河地方でかつて漆が生産されていたことに起因しており、「三河漆」として昭和初期まで樹木を栽培し、越前(現福井県)の漆職人が採取していたという。周辺地域で良質な漆や木材が確保できたことで、岡崎で伝統工芸品の三河仏壇が発祥したとも考えられている。

プロジェクトにはJAあいち三河、岡崎市ぬかたブランド協議会、岡崎森林組合合同会社ELEMUS、市出資の地域商社(今後設置予定)、名古屋大学、鳥取大学、自然科学研究機構基礎生物学研究所が参加。団体や企業は耕作放棄地対策やブランド化の検討、栽培や育成の管理、製品実用化などに向けて取り組む。3研究機関は発芽率や樹液採取量の向上などにつながる品種改良を試みる。

18日には同市東河原町の旧大雨河小学校でプロジェクト発足式が開かれた。その後は町内にある約500平方メートルの耕作放棄地に移動した複数の関係者が、50本の苗木を手植えした。これらの苗木は鳥取大や岡崎市農業支援センターで育てられたという。

漆は樹液から生成され、古くから接着材や塗料として活用されている。高さ5〜10メートルくらいまで成長するというが、1本の木から樹液が採れるようになるまで10年程度かかるとされる。

市によると、日本国内の漆生産量は国内使用量の5%程度にとどまっている。その一方で、文化庁が国宝や重要文化財の修復などに国産漆を使う方針を示したことや良質な漆として海外でもニーズが高いことなどから、国産漆の需要が高まっているという背景がある。

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